お知らせ

2018 / 11 / 30  21:23

意匠・商標の審査・審判書類がJ-PlatPatで 照会可能に

弁護士・弁理士の佐藤孝丞です。

既に特許庁ホームページにて発表されましたが、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)の機能改善の一つとして、意匠・商標の審査段階・審判段階の書類内容が照会可能となる予定です。

具体的には、以下のとおりの改善となるようです。

<照会対象となる申請書類>

・ 意匠・商標の審査段階やこれらの審判段階における書類のうち、照会対象となるのは、平成31年1月1日以降に特許庁で受け付けた申請書類

・ 照会可能となる申請書類の種類及び内容等の詳細は、下記の特許庁ホームページ「意匠・商標の審査・審判書類がJ-PlatPatで照会可能となります」を見るとわかります。

以下に、上記HPの内容を引用しながら概要を紹介します。

1. 照会可能となる申請書類

(1)種類

 J-PlatPatで照会可能となる主な申請書類は以下のとおりです(但し、法域等により照会可否が異なる場合がございます)。

願書、審判請求書、意見書、手続補正書、上申書 等

※J-PlatPatでの照会の対象外となる主な申請書類は以下のとおりです。

早期審査に関する事情説明書、手続補足書、刊行物等提出書 等

※その他に、特許庁が発送する書類(登録査定、拒絶査定、拒絶理由通知書、審決等)や面接記録、応対記録等が照会可能となります。

 

(2)時期

平成31年1月1日以降に特許庁で受け付けた申請書類

※特許庁が発送する書類及び面接記録・応対記録等も平成31年1月1日以降に作成された書類が照会対象となります。

 

2. 照会可能となる内容

原則、全て(書類中の項目【意見の内容】【その他】の内容等)表示されます。ただし、以下の場合には表示されません。

 

(1)書類中の項目【住所又は居所】【電話番号】【ファクシミリ番号】の内容

J-PlatPatにおける書類照会においては、表示されません(<省略>と表示されます)。

 

(2)上記以外の項目の内容

オンライン手続において、【提出物件の目録】及び【添付物件】の項目を設け、それらの項目より下に、画像データとして貼り付けた場合、その画像データは表示されません。

紙書面による手続において、【提出物件の目録】の項目を設け、該当する事項が記載された書面を添付した場合、添付された書面は表示されません。

申請書類に個人情報や営業秘密等を記載する必要がある場合、上記(1)及び(2)の範囲に記載することで、特許情報プラットフォームで表示されないようにすることができます。

※なお、上記の方法によった場合でも、原則、閲覧請求の対象にはなります。


(参照)
〇 意匠・商標の審査・審判書類がJ-PlatPatで照会可能となります」(平成30年11月29日掲載)  https://www.jpo.go.jp/torikumi/chouhoyu/chouhoyu2/tokkyo_platform_181129.htm


<照会可能時期>

 J-PlatPatでの意匠・商標の審査段階・審判段階の書類の照会は、2019年5月リリースの機能改善により可能となる予定です。

(参照)
〇 「特許情報プラットフォームの機能改善について」(平成30年7月10日掲載)https://www.jpo.go.jp/torikumi/chouhoyu/chouhoyu2/tokkyo_platform_kaizen.htm

2018 / 11 / 18  21:26

第21回ペット法学会へ参加しました

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弁護士・弁理士の佐藤孝丞です。

第21回ペット法学会・学術集会シンポジウムへ参加してきました。

会場は、母校でもある明治大学リバティタワー。
教室に入るのは、8年ぶりくらいでしょうか。
懐かしく、うれしかったです。

同学会では、パネリストを担当したことがありますが、今回は、オーディエンスでした。

テーマは、「ペットから見る獣医療関連法」でした。

環境省や農林水産省の官僚の方や、獣医師や弁護士の先生からとても興味深い研究報告を聴けました。

次回も参加したいと思います。

2018 / 11 / 04  19:22

【セミナー報告】働き方改革関連法実務対策

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弁護士・弁理士の佐藤孝丞です。

報告が遅れましたが、10/17(水)に株式会社プロエージェント様主催のセミナーに講師として登壇しました。

タイトルは、「~弁護士が解説~手遅れになる前に! 「働き方改革関連法」実務対策セミナー」です。

内容は、概ね次のとおりでした。

1 時間外労働の上限規制の概要
2 年次有給休暇取得の義務化の概要
3 裁判例から学ぶ同一労働同一賃金と今後の対応

セミナー当日は、事業会社のご担当者はもちろんのこと、社労士の先生方もいらしてくださりました。

セミナー後にご協力いただいたアンケートも好評をいただきました。
正直、ほっとしました。

今後もセミナー等での情報発信に努めたいと思います。

2018 / 10 / 23  20:12

相続法改正について

弁護士・弁理士の佐藤孝丞です。

平成30年7月6日に参議院本会議において可決・成立した法案(同月13日に公布)、すなわち相続法の改正の内容を紹介いたします。
 
昭和55年以来約40年ぶりの大幅見直しとして、我々法律家にとどまらず大きな注目を浴びているものです。

 

1 配偶者の居住権の保護するための方策

⑴ 配偶者短期居住権の新設(新民法1037条~1041条関連)

配偶者が相続開始時に遺産に属する建物に居住していた場合には、遺産分割が終了するまでの間、無償でその居住建物を使用できます。

⑵ 配偶者居住権の新設(新民法1028条~1036条関連)

配偶者の居住建物を対象として、終身又は一定期間、配偶者にその使用を認める法定の権利を創設します。

⇒遺産分割等における選択肢の一つとして、配偶者に配偶者居住権を取得させることができます。

 

2 遺産分割等に関する見直し

⑴ 配偶者保護のための方策(持戻し免除の意思表示推定規定。新民法903条4号関連)

⑵ 仮払い制度等の創設・要件明確化(新民法909条の2関連)

相続された預貯金債権について、生活費や葬儀費用の支払、相続債務の弁済などに資金需要に対応できるよう、遺産分割前にも払戻しが受けられる制度を創設します。

⑶ 遺産分割前に遺産に属する財産を処分した場合の遺産の範囲を計算上公平に是正(新民法906条の2関連)

 

3 遺言制度に関する見直し

⑴ 自筆証書遺言の方式緩和(新民法968条関連)

自筆でない財産目録を添付して自筆証書遺言を作成できます。

⑵ 遺言執行者の権限の明確化(新民法1007条、1012条~1016条関連)

⑶ 公的機関(法務局)における自筆証書遺言の保管制度の創設(遺言保管法関連)

 

4 遺留分制度に関する見直し(新民法1042条~1049条関連)

 

5 相続の効力等に関する見直し(新民法899条の2関連)

相続させる旨の遺言等により承継された財産において、法定相続分を超える権利の承継については、対抗要件(登記等)を備えなければ第三者に対抗できなくなります。

 

6 相続人以外の者の貢献を考慮するための方策(新民法1050条、新家事事件手続法216条の2~216条の5関連)

相続人以外の被相続人の親族が、被相続人の療養看護等を行った場合には、一定の要件のもとで、相続人に対して金銭請求をすることができる制度(特別の寄与)を創設します。

⇒これに伴い、家庭裁判所における手続規定(管轄等)を設けます。

 

7 施行期日

改正相続法は、原則として、平成31年7月13日までに施行されます。過日話題になった債権法改正の施行日(原則)が平成32年4月1日ですから、施行については債権法改正を追い抜いた形になります。

もっとも、①自筆証書遺言の方式緩和については、平成31年1月13日に施行され、②配偶者の居住権を保護する方策及び法務局における自筆証書遺言の保管制度については、平成32年7月13日までに施行されます。

 

2018 / 10 / 19  20:00

平成30年著作権法の一部を改正する法律等の施行

弁護士・弁理士の佐藤孝丞です。

改正法の施行についての情報提供です。

1 改正著作権法の施行

平成31年1月1日(一部、平成31年4月1日)から、平成30年著作権法の一部を改正する法律等が施行となります。
下記の文化庁のHPによると、概要は、次のとおりです。

(1)デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定の整備

情報通信技術の進展等の時代の変化に柔軟に対応できるようにするため,著作物等の市場に悪影響を及ぼさない一定の著作物等の利用について,適切な柔軟性を備えた権利制限規定の整備を行います。
具体的には,次のように,通常権利者の利益を害しないと考えられる行為類型(下記①及び②)と,権利者に及び得る不利益が軽微な行為類型(下記③)について,それぞれ適切な柔軟性を持たせた規定を整備することとしました。

 ① 著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用(第30条の4関係)

 ② 電子計算機における著作物の利用に付随する利用等(第47条の4関係)

 ③ 電子計算機による情報処理及びその結果の提供に付随する軽微利用等(第47条の5関係)

  ※ この規定の整備に伴い,現行第47条の6は新しい第47条の5に整理・統合することとしました。

 

(2)教育の情報化に対応した権利制限規定等の整備

学校その他の教育機関における権利制限規定(第35条)において,現在権利制限の対象となっているコピー(複製)や遠隔合同授業におけるネットワークを通じた送信(公衆送信)に加えて,新たに遠隔合同授業のための公衆送信以外の公衆送信等についても広く対象とするとともに,今回新たに権利制限の対象となる公衆送信について権利者に補償金請求権を付与することとしています。
⇒ 例えば学校等の授業や予習・復習用に,教師が他人の著作物を用いて作成した教材を生徒の端末に公衆送信する行為等について,文化庁長官が指定する単一の団体への補償金支払を条件として,権利者の許諾なく行えることとなるものと考えられます。

 

(3)障害者の情報アクセス機会の充実に係る権利制限規定の整備

視覚障害者等のために書籍の音訳等を権利者の許諾なく行うことを認める権利制限規定(第37条第3項)において,音訳等を提供できる障害者の範囲について,現行法で対象として明示されている視覚障害や発達障害等のために視覚による表現の認識に障害がある者に加え,新たに,手足を失ってしまった方々など,いわゆる肢体不自由等の方々が対象となるよう規定を明確にしました。
また,権利制限の対象とする行為について,現行法で対象となっているコピー(複製),譲渡やインターネット送信(自動公衆送信)に加えて,新たにメール送信等を対象とすることとしています。
⇒ 例えば肢体不自由で書籍等を保持できない方のために音訳図書を作成・提供することや,様々な障害により書籍等を読むことが困難な者のために作成した音訳データをメール送信すること等を権利者の許諾なく行えることとなるものと考えられます。

 

(4)アーカイブの利活用促進に関する権利制限規定の整備等

アーカイブの利活用促進に関する以下の整備を行います。

 ① 国立国会図書館による外国の図書館への絶版等資料の送信(第31条関係)

 ② 作品の展示に伴う美術・写真の著作物の利用(第47条関係)

 ③ 著作権者不明等著作物の裁定制度の見直し(第67条等関係)
  ⇒ 補償金等の支払を確実に行うことが期待できる国や地方公共団体等について,事前の供託を求めないものとし,権利者と連絡をすることができることになった際に,事後的に権利者に補償金を支払うことを認めることを規定(第2項)しています。
  ⇒ 同様に,申請中利用に当たって供託をすることが求められる担保金も,国や地方公共団体等については免除し,権利者が現れた場合に,利用に係る補償金を直接権利者に支払えば足りることとしています(第67条の2)。

 

(5)施行期日

 

この法律は,

上記(1)デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定
(3)障害者の情報アクセス機会の充実に係る権利制限規定
(4)アーカイブの利活用促進に関する権利制限規定に係る改正事項
については平成31年1月1日に,

上記(2)教育の情報化に対応した権利制限規定に係る改正事項
については公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日に,

それぞれ施行されることとしています。

参考 文化庁のHP

2 TPP11整備法による影響

平成30年3月8日に「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」(TPP11協定)が署名されたことを受け、「環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律」

(TPP11整備法)が、平成30年6月29日に成立、同年7月6日に公布されました。
下記の文化庁のHPによれば、これにより、「環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律」において予定されていた著作権法の改正については、TPP11協定が日本国について効力を生ずる日から施行されることになるとのことです。

参考 文化庁のHP